耳鳴りとは耳の細胞が死んでいく音! カフェインで耳鳴りを改善できる?

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突然キーンと頭の中で響く耳鳴りは、誰しもが経験しているのではないでしょうか。これが慢性的になると、不快で生活にも支障がおきますよね。

ところで、このキーンという音、なぜ耳で鳴るのでしょう。

実はこれ、耳の細胞が死んでいく音なのです。そして耳の細胞は一度死んだら、再生不可能といわれています。しかも、この細胞が減少すると難聴の原因となります。

ということは、再生不可能の耳の細胞がどんどん死んでいくと、そのうち耳が聞こえなくなってしまうの?

と、焦っている方に朗報です。その耳鳴りの改善に、コーヒーや紅茶、チョコレートなどに含まれるカフェイン摂取は効果があるらしいのです!

 

耳鳴りのメカニズムをしろう

耳鳴りとは、実際音がないのに本人にだけ感じる「自覚的耳鳴り」と、耳管などで実際に生じている音が聞こえる「他覚的耳鳴り」に大きく分れますが、耳鳴りのほとんどは自覚的耳鳴りであるといわれています。

耳鳴りは治療のむずかしい分野といわれています。なぜなら耳鳴りのほとんどは本人にしか聞こえない自覚症状なので、客観的に診断して原因や治療をすることはむずかしいのです。そのため、未だに原因や治療法など明らかになっていない部分も多いのです。

自覚的耳鳴りの原因も明確にはなっていませんが、最近の研究により、内耳から脳の間の、聴覚経路のどこかで、外部音に関係なく音を感じる神経が過敏になっているためにおこるのではないかと推察されています。

 

耳の細胞はこうして死滅する

聴覚のメカニズムは、外耳、中耳、内耳の3つの耳の部分から構成されています。 内耳には、蝸牛(かぎゅう)という、うずまき型をした聴覚の感覚器官があり、有毛細胞という毛の生えた細胞が蝸牛管に沿ってきれいに並んでいます。

この有毛細胞は音を感じるためには不可欠な細胞です。毛で音を振動で感知し、電気信号に変換して脳に伝えるという重要な役割をしています。

そして耳鳴りとは、この有毛細胞が折れたり、抜け落ちたりすること、要は死んでしまうことなのです。

有毛細胞は一度死んでしまうと再生しません。

傷ついたり、死んでしまうと聴覚が低下し、音の聞き分けなどが難しくなり、難聴の原因になるといわれています。とても繊細な細胞なので、大音響や道路の騒音並みの80デシベル(dB)以上の長時間の音の振動により、 有毛細胞は傷つきます。

注意してください!コンサート会場や、イヤホンでの大音量は、あなたの大切な有毛細胞を死に追いやっている、ということになるのです。(ちなみに、一般的なイヤホンでの音響レベルは最高100デシベルほどあります。)

有毛細胞の機能が消失すると、聴力が100分の1になってしまうといわれているので、気をつけましょう。

有毛細胞は内有毛細胞と外有毛細胞と2 種類あり、片耳で内有毛細胞が 約3,500 ほど、外有毛細胞が 約12,000ありますが、加齢により減少します。1年に200本減少していくといわれています。

事実、 年を取ると耳の聞こえが悪くなったり、難聴になりやすいのは、有毛細胞の減少が原因です。

慢性的な耳鳴りは、突発性難聴、メニエール病、音響外傷などの耳の内耳部分による病気が原因の場合があります。

また、耳鳴りは他の病気が原因の場合もあります。その病気が改善されると、耳鳴りの症状もなくなります。

 

カフェインを摂ると耳鳴りが改善するという調査結果が

今までカフェインは、その交感神経を刺激する作用から、耳鳴りには悪影響といわれてきました。

ところが、カナダのウエスタン・オンタリオ大学とアメリカのハーバード大学医学部の医師達が、生活習慣と耳鳴りの影響を調査した際、おどろく結果が確認されたのです。

それは、1日 に150 mg以下のカフェインを摂る人に比べた結果、1日450−599mg(コーヒー約3−4杯)のカフェインを摂る人は耳鳴りが15%減少 、さらに1日600mg(コーヒー約4杯)以上のカフェインを摂る人は耳鳴りが21%減少したということです。

この調査は65,085人の30歳から44歳までの、耳鳴りの症状がない看護師の女性を対象にしたもので、期間は1991年から2009年の18年間におよびました。その間5,289件の耳鳴りが確認されています。

調査では、耳鳴りの症状がある人の改善には効果的ですが、予防の効果については明らかになっていません。 今後のさらなる研究が、期待されるところです。

 

ストレスが耳鳴りを起こす時、カフェインはやめるべきではない?

耳鳴りは、過度なストレスが原因になっている場合もあります。現代人にストレスはつきもので、日々の疲れ、緊張、怒り、仕事、勉強、家庭、人付き合い、騒音、タバコの煙、などさまざまな刺激や圧力をうけます。

そのストレスが重なり心理的においやられると、その状態から逃れようと体は自己防衛本能を発揮させます。その結果、強制的に耳の働きを遮断しようとする行為が働き、耳鳴りを起こすという場合があります。

カフェインは依存性があり、中毒症状から離脱するときにおこる、めまい、不眠などの副作用から、それがストレスを誘発すると考えられていました。

しかし、前述の調査では、カフェインをとめた人に症状の改善はなく、逆に悪化するという症状もみられたということです。これは慣習としているカフェインを抑制されたストレスによるものではないかと考えられます。

コーヒーや紅茶などが大好きな人にとっては、抑制されることの方が逆にストレスになってしまうということです。

 

偏頭痛による耳鳴りのカフェインの効果

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耳鳴りの偏頭痛が原因である場合は、少量のコーヒーなどカフェインを飲むと、痛みが抑制されます。

カフェインには脳内の血管の収縮作用があるので、偏頭痛により拡張した血管をもとにもどす効果があるからです。

前述の調査でのカフェインの耳鳴り症状改善のケースは、その耳鳴り自体が、偏頭痛かどうかというのは明らかになっていませんが、カフェインの交感神経刺激作用は工夫次第で、症状の改善をもたらすのでは、という可能性がひろがっています。

 

頭痛の原因をしっかり把握して正しい対処を

近年の研究により、カフェイン摂取は、耳鳴りに効果があることが明らかになってきましたが、摂取量に注意が必要です。

前述の調査では1日600mg(コーヒー約4杯)以上のカフェイン摂取がもっとも耳鳴りを改善した結果となっていました。

しかし、この量は適量ギリギリ、もしくは適量超えの範囲です。 過剰摂取にならないための、1日のカフェインの適正摂取量は健康な成人で300−400mgなのです。

カフェイン600mg=コーヒー4杯と単純計算するのは早計です。コーヒーは淹れ方や種類によって、カフェインの含有量はさまざまですし、コーヒー以外の飲食品から気づかず、カフェインを摂取している場合も多いのです。

コーヒー約4杯分までなら大丈夫とおもっていても、知らないうちに過剰摂取している可能性があります。特に一度の過剰摂取は危険です。一度の摂取量は200mgまでにとどめましょう。

カフェインの作用は個人差があります。カフェインに敏感な人や、貧血、糖尿病を患っている人、妊婦の人などはコーヒー1−2杯程度におさめておくのが無難です。