妊娠をのぞむカップルにとって、妊娠に悪影響をおよぼす生活習慣はなるべく避けたいものですが、「カフェインを取りすぎると妊娠しにくくなる」と聞いたことはありますか?
コーヒーや紅茶、そしてチョコレートに含まれているカフェイン。知らず知らずのうちに毎日大量に摂取していませんか?
不妊治療中の女性の体にとってカフェインはどんな影響があるのでしょうか。
カフェインの多量摂取は卵管に悪影響
最近の研究により、カフェインと不妊の関連性が明らかになっています。アメリカのネバダ大学医学部、ショーン・ウォード教授は, マウスを使用した実験を行い、「カフェインを多量に摂取すると、卵管の筋肉の収縮活動を妨げる」という結果を発表しました。
なぜ卵管の筋肉収縮が、不妊に関係しているのかというと、受精卵の輸送が卵管の筋肉収縮によって行われるからです。
卵管は精子と卵子に出会いの場、いわゆる受精の場であり、受精卵の通り道です。卵巣で排卵した卵子は卵管にすくいあげられて、卵管までたどりついた精子と受精します。成長した受精卵は卵管を通り、子宮へ向かい、子宮内膜に着床して妊娠が成立します。
そして受精卵が卵管から子宮内膜へたどり着くためには、卵管内にある多数の線毛の運動と、卵管内の粘膜の外側にある平滑筋の筋収縮が必要なのです。
卵管の収縮がうまくいかず、受精卵が輸送されないまま卵管内で発育してしまうと、卵管妊娠し、流産や卵管の破裂などを招いてしまう危険性があります。
今回の実験でマウスに与えられたカフェインの量は、人間に換算すると1日のコーヒー2−3杯の量に相当します。
コーヒー以外にも、紅茶、緑茶、エナジードリンク、ソーダなどの飲料、またチョコレートやカカオを使用したお菓子にもカフェインは含まれています。
1日にコーヒーの2−3杯ほど、飲んでいないという人でも、気がつけばカフェインを取りすぎている恐れがあります。
不妊の原因のリスクがあるカフェインの多量摂取は、避けるのがのぞましいでしょう。
コーヒーにいれる砂糖に注意!妊娠に冷えは大敵
妊娠するための身体作りの基本は、まず体を温めることです。
冷え性の改善は、妊娠を望む女性には大切です。身体が冷えると血行が悪くなり、血液中にある栄養素や酸素が、体内に運搬しにくくなるからです。
女性の体温は排卵後から生理まで高温期にはいります。こうして体温を上げることで、質の良い卵子や子宮をつくるための、最適な環境づくりをしてるのです。
また、冷えは女性ホルモンのバランスを乱す原因になります。ホルモンバランスが乱れると、卵巣や卵子などの生殖器官に影響をおよぼして、妊娠率を低下させます。
カフェインは、その利尿作用から体温を下げると言われています。尿の排出とともに、熱も一緒に排出されるからです。
またコーヒーに砂糖をいれすぎないよう注意が必要です。
精製された白砂糖やグラニュー糖は血液中に吸収されやすく、体内の血糖値が急激に上昇します。そうすると脳は指令をだし、インスリンを大量分泌させて、血糖値を下げようとします。砂糖を頻繁にとりつづけると、急激な血糖値の上下動をくりかえし、手足の冷える原因になります。
カフェインによる睡眠不足は不妊の原因に
夜更かしは卵胞や卵子の成長を妨げます。
なぜなら夜間は卵胞が成長し、排卵がおこる、いわば女性の生殖器官が成長する大事な時間なのです。
特に夜11時から夜中2時頃までの睡眠中は、脳の視床下部から卵巣への指令が働き、女性ホルモンの分泌が最も活発になります。
この時間帯は、成長ホルモンの分泌も活発になり、美肌づくりの時間ともいわれています。
コーヒーを飲み過ぎて、夜なかなか寝付けない、なんてことはないですか?12時までにはしっかり就寝して、妊娠しやすい身体作りをこころがけましょう。
カフェインは男性の生殖能力にも悪影響
カフェイン摂取は、女性だけではなく、男性の生殖能力にも影響することが海外の調査で発表されています。
アメリカのマサチューセッツ総合病院でおこなわれた、体外受精に取り組む、男性を対象にした統計では、男性の1日のカフェイン摂取量が265mg(約コーヒー2杯分)を超えると妊娠率が大きく低下し、カフェインの摂取量が多いほど妊娠率が低くなるという結果がでました。1日のカフェイン摂取量が265mg以上の男性は、1日のカフェイン摂取量が88mg以下の男性と比べ、妊娠率は半分以下だったということです。
この結果から、男性の1日のコーヒー摂取量は、1−2杯までにとどめておくのが良いと示唆されています。
カフェインの摂取量は精子の量や運動率には影響しませんが、精子の質に影響を及ぼすということです。
不妊改善には、女性ばかりでなく、男性側も意識しての生活習慣の改善が必要です。
妊娠のための身体づくりは大切ですが、妊娠しなければというプレッシャーは、反ってストレスにつながります。無理な負担をかけない程度に、焦らず徐々に、体と心をベストな環境にしていくようにするのがよいでしょう。