美容や健康の増進、がん発症の予防など、さまざまな優れた効果のある無水カフェインですが、 正しく摂取しないと、逆に健康に害を及ぼしてしまう可能性があります。
無水カフェインは手軽で取りやすいため、 うっかり過剰摂取してしまい副作用をひきおこしやすいのです。では、具体的にどのようなことに気をつければよいのでしょうか。
適正摂取量はどのくらい?隠れカフェインによる過剰摂取に気をつけて
カフェインは、知らず知らずのうちに摂取してしまっている事が意外に多いのです。なぜならカフェインは日常的なものに含まれているからです。
コーヒー、茶、エナジードリンクばかりではありません。他にもチョコレート、チョコレート味やコーヒー味のするお菓子、アイスクリーム、眠気覚まし用のガム、風邪薬や咳止めなど、さまざまな飲食品や医薬品に含まれているのです。
健常な成人の1日のカフェイン適正摂取量は400mgまで、1度の摂取量は200mgまでです。
成分を確認せず無意識に食べたり飲んだりしていると、いつのまにかカフェインを取りすぎてしまっていたなんてことも。
例えば、カフェイン100mg含有する無水カフェインの錠剤を2錠とった後、さらにドリップコーヒー2杯と60%カカオのダークチョコレート1枚を摂取したとしましょう。
これですでにカフェイン500mgほど摂取しているのです。
(無水カフェイン2x100mg)+(ドリップコーヒー2x120mg)+(ダークチョコレート1x60mg)=カフェイン500mg
明らかに過剰摂取ですね。このように、カフェインを錠剤で200mgだけ摂取したつもりでも、隠れカフェインのせいで多量摂取しがちなのです。
おもな飲食品に含まれているカフェインの含有量の目安は以下の通りです。
種類 | 1回量 | カフェイン含有量(mg) |
コーヒー ドリップ式 | 150ml | 80-130 |
コーヒー レギュラー | 150ml | 60-130 |
コーヒー インスタント | 150ml | 50-70 |
コーヒー エスプレッソ | 25ml | 30-90 |
コーヒー カフェインレス | 150ml | 3-10 |
紅茶 | 150ml | 30-80 |
緑茶 | 150ml | 20-30 |
ココア | 150ml | 20−45 |
チョコレート ダーク | 1枚 60g | 25-60 |
チョコレート ミルク | 1枚 60g | 10-20 |
コーラ | 350ml | 35-40 |
ダイエットコーラ | 350ml | 35-50 |
エナジードリンク | 250ml | 80-150 |
自分の口にする物の栄養素や成分を意識する習慣を身につけることは、健康管理の大切な基本です。
他の飲食物でカフェインを摂取している人は、無水カフェインの摂取量を調整しましょう。
無水カフェインの離脱症状に気をつけて
眠気やだるさ防止のために無水カフェインを摂取しているのに、逆に疲労感が増したり、頭痛や吐き気をもよおしてしまう経験をしたことはないですか?
これはカフェインを摂取したあとにおこる副作用のためです。
カフェインを多量摂取した後、または常用していたカフェインの摂取を停止すると、カフェインの離脱症状がおこります。
カフェインを1日平均235mg摂取する人の半数は、離脱症状時の頭痛を経験するといわれています。
カフェインは4−6時間後効果が低下していき、カフェインが切れるのは摂取後12−24時間ですが、この離脱時に無気力感、震え、頻脈、不眠、めまい、吐き気、不整脈、痙攣などの症状がおとずれます。たいていの場合は2−5日で、長い人でも1週間ほどで症状はおさまります。
このような症状がおきたときは、一度カフェインの摂取を数日間停止して、体内のカフェインを代謝しきってしまうことが大事です。
カフェインを抜き、体内のシステムをリセットすることにより、また少量のカフェインで効果を発揮できるようになるのです。
カフェインの副作用をおこさないためにも、無水カフェインの使用は、日常的ではなく、必要時にのみ、一時的または短期間で使用するのがよいでしょう。
無水カフェインの慢性摂取はさけて!耐性ができてしまうのは危険なサイン
最初のうちは1錠の無水カフェインで効果を発揮していたものが、そのうち効果が弱くなってしまい、気がついたら2錠、3錠と摂取量を増やしていくということはありませんか?
実はこれは危険な兆候です。
カフェインは耐性があり、繰り返し摂取すると、数日で効果が減少してしまうのです。継続的なカフェイン効果をはかろうと、摂取量をどんどん増加してしまうのは過剰摂取の原因になります。
気がつけば、身も心もカフェインに依存してしまい、もうカフェインがやめられない、なんてことになりかねません。
そこで怖いのは、多量のカフェインが体内の血中濃度を急激上昇させることによっておこるカフェイン中毒です。
最近、カフェインの過剰摂取による中毒事故が増えています。
体重50kgの成人の場合、1時間以内に325mg以上のカフェインを摂取すると50%の割合で、3時間以内に850mg摂取した場合は100%の割合で急性症状がおこるといわれています。(1)
中毒症状は、緊張感、不眠症、幻覚、情緒不安定などの精神的な症状とともに、吐き気、嘔吐、不整脈、動悸、痙攣などの身体的な症状があります。
上記の症状が出た場合は、即座にカフェインの摂取を中断し、カフェイン血中濃度を低下させましょう。症状の悪化によっては病院を受診しましょう。
カフェインの適正摂取量は個人差がある。妊娠中や疾患がある場合は摂取量を控えめに!
1日の推奨摂取量は400mgといわれてますが、すべての人にあてはまるわけではありません。 カフェインに敏感な人や疾患のある人は、摂取量を少なめに設定したり、摂取を控えるようにするのが懸命です。
無水カフェインは少量で強力なので、摂取量には注意が必要です。以下の症状のある人は、無水カフェインの摂取時は医師や専門家に相談しましょう。
胃潰瘍の疾患のある人
カフェインは胃酸分泌を促進するため、影響を及ぼす可能性があります。
心臓に疾患のある人
カフェインの強心作用があり、徐脈や頻脈を起こす恐れがあります。
緑内障の疾患のある人
カフェインは多少なりとも眼圧を上昇する作用があります。緑内障の人、またその恐れがある人は過剰摂取しないよう注意しましょう。
不眠症の人
カフェインは興奮作用があり眠気を抑制してしまうので、摂取を控えた方がよいでしょう。
年齢や症状により、適正摂取量は増減します。高齢者や妊娠中、または授乳中の人は摂取を控えめにし、体調不良を感じる際は、専門家に相談し摂取量を確認してください。
副作用をおこさないよう他の薬との併用はさけて
無水カフェインの錠剤を飲む際は、コーヒーやお茶などカフェイン飲料と併用して飲まないようにしましょう。過剰に反応し、頭痛や動悸などの副作用をもたらす恐れがあります。
また、無水カフェインを含む全てのカフェインと、他の薬とは、同時に飲まないようにし、服薬の前と後1時間はおくようにしましょう。
特に、喘息を患っている人は気管支拡張薬のテオフィリン系の薬と併用摂取してしまうと、過剰に中枢神経を刺激し薬の副作用をたかめてしまうをおこすおそれがあります。
また、うつ病やパーキンソン病を疾患している人で、MAO阻害剤(抗うつ剤)を服用している人。
この薬はアドレナリンやドーパミンなどの神経伝達物質を分解されないようにする作用があり、カフェインを併用すると副作用によって高血圧や肝障害がおこる可能性もあります。
また消化性潰瘍のシメチジンの薬を飲んでいる人も副作用を引き起こしやすいので注意しましょう。
薬は水で服用することを心がけてください。カフェイン量の少ない番茶などとの服用で問題ない場合もありますが、事前に専門医に相談しましょう。