コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインは、女性ホルモンであるエストロゲンのレベルを上昇させることが知られています。
それって女性化が高まること?
女性らしい体になり、肌がつやつやして、なんだかとてもキレイになれそうな嬉しい話ですが、必ずしも良いこととは限りません。女性ホルモンの増加は、良いことと悪いことの両面性があります。
今回はカフェインと女性ホルモンの関連性と、女性ホルモンの増加にともなう影響についてまとめました。
アジア人女性はカフェイン飲料で女性ホルモンが増加する
カフェインと女性ホルモンの大きな関連性は、アメリカのエンリケ・シスターマン医師らの研究結果で確認されています。
その研究により、コーヒー2杯分に相当するカフェイン200mgの量、またはそれ以上を摂取したアジア人女性は、エストラジオールの濃度が高くなり、一方同じ量を摂取した白人は、エストラジオールの濃度が低くなるという結果がでたのです。
エストラジオールとは、女性ホルモンで知られるエストロゲンの一種で、エストロゲンのなかで最も強く活性します。
このデータの被験者は、18歳から44歳までの多人種の女性が対象となっています。
おもしろいことに、カフェイン飲料の種類によって、白人の女性ホルモンの濃度に異なる結果がでています。コーヒーを摂取した場合は白人の女性ホルモン濃度は低くなりましたが、カフェイン入りの炭酸飲料や緑茶の場合は、白人を含めた全ての人種のホルモン濃度が高くなりました。
白人女性が、なぜ飲み物の種類によって違う結果がでたのかという要因は、明らかにされていませんが、注目したいのは、我々アジア人女性はすべてのカフェイン飲料にたいして、女性ホルモン値が上がったという結果です。
では女性ホルモンは身体にどんな作用があるのでしょう。
美肌ホルモン!エストロゲンの作用
カフェインと関係があるエストロゲンは、いわゆる美肌ホルモンとよばれ、きめの細かい弾力と潤いのある肌作りをします。つややかでハリのある美しい髪づくりの効果もあり、女性にとってはまさに夢のようなホルモンです。
エストロゲンは他にも次のような効果があります。
- 脂質代謝を促す
- 乳腺の細胞を増殖させ、胸の発達を促す
- 卵巣のなかの排卵をコントロール
- 骨疽しょう症を防ぐ
- 血液を凝固する
女性ホルモンの増加だけではダメ、大事なのはホルモンバランス
素晴らしい効果のあるエストロゲン。増加すればより女性らしさを増して美しくなれるかというと、そう単純ではありません。
女性ホルモンはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の二種類あり、二つのホルモンの分泌量やバランスは、性周期によって変動します。
実は大切なのはその二つの女性ホルモンの分泌量のバランスです。
女性の性周期は、約28日周期の月経リズムがあります。生理開始から排卵のおこる約14日間が卵胞期で、排卵後から生理の開始日までの約14日間が排卵期になります。
エストロゲンは、卵胞(卵子をいれる袋)の成長を促進する卵胞期に、優位に分泌されます。一方プロゲステロンは、排卵後の卵胞から分泌されるので、排卵期に優位になります。
性周期内におこる二つのホルモンの分泌のバランスの崩れは、女性の体に大きな影響をあたえます。ニキビや吹き出物の肌のトラブルや、生理前は動悸、頭痛、めまい、貧血などの月経前症候群、いわゆるPMSの症状がでます。
美肌ホルモンのエストロゲンの分泌量だけを増やしても、プロゲステロンとのバランスがとれてなければ、意味がないのです。
また女性ホルモンが増加しすぎると、乳がんや子宮がんの原因をまねきます。
更年期はホルモンバランスがみだれやすい
ホルモンのバランスの乱れは、月経リズムの性周期の他に、年齢によってもおとずれます。
女性は閉経にともない、エストロゲンは40代半ばから急激に低下して、 性周期の乱れ等が生じ、ホルモンバランスの乱れをおこします。
しかし更年期にエストロゲンの分泌を促進する目的で、カフェインを摂取するのはおすすめしません。 興奮作用のあるカフェインによって、さらに自律神経を刺激し、情緒不安定になったり、血管に悪影響をあたえるおそれがあります。
更年期障害の改善には、大豆などの豆類の摂取が良いといわれています。これは大豆に含まれているイソフラボンが、エストロゲンと似ている生理作用を持っているからです。イソフラボンは主に豆腐、納豆、味噌などに含まれていますが、過剰摂取は乳がん発症のおそれがあるので注意が必要です。
過度のストレスや睡眠不足も女性ホルモンのバランスを乱す
女性ホルモンは卵巣でつくられますが、指令を司るのは脳の視床下部という部位です。脳は下垂体に指令をだし、それが卵巣に伝わり二つの女性ホルモンをつくりだします。脳から卵巣までのサイクルがうまく連動しないと、ホルモンの分泌はうまくいきません。
ストレスや睡眠不足は、脳や自律神経に影響をおよぼしてホルモンのバランスをくずします。カフェインは覚醒作用があるので、過度に摂取すると睡眠のさまたげになりますので注意しましょう。