美容や健康に効果があるという「デトックス」。「デトックスで美肌づくり!」「デトックスで5キロ減量成功!」などの製品広告もよくみかけ、そのダイエット効果や、美肌効果がちまたで騒がれていますよね。
一方で、デトックスがどんなものなのか良く知らないという人も多く、
「岩盤浴は効きますか?」
「コーヒーやお茶はデトックスには効くのですか?」
「どんなデトックス製品が効果があるのですか?」などいろいろな質問が浮上しています。
そういうあなたは、もしかしたらデトックスという魔法の言葉におどらされているだけかも?
だって私たちは、節度ある普通の生活をしていれば、デトックスがいつも自然にできているんです。
そもそもデトックスとはどういう意味なのでしょう。
そして、デトックス効果が高いという最近トレンドの「クレンズ」とは、いったい何なのか?この「デトックス」と「クレンズ」の詳細を掘り下げてご紹介しましょう。
デトックスは本来意識せずとも出来ているもの
突然ですが、あなたは今日、トイレで大きい方を出しましたか?
- YES! と答えた人はデトックスが9割以上できています。
- NO… と答えた人はデトックスが2割程度しかできていません。
はい、デトックスはそのほとんどが、便、尿によってなされるのです。
デトックスとは、Detoxificationの英語が略されてDetoxになったもの。Detoxificationとは解毒です。体内のたまった毒素や老廃物を排出させることです。
体内の老廃物のほとんどは肝臓で分解され、便(75%)、尿(20%)、汗(3%)、髪や爪(2%)から排出されるのです。
デトックスは解毒という広い意味なので、たとえば薬物中毒になった場合の解毒治療の行為も、医療界におけるデトックスになります。
しかし近年の美容や健康を視点としたデトックスは、おもに生活習慣病や外的要因により蓄積された、体内の毒素や老廃物の除去を意味します。
おそらく数千年前の公害とは無縁の環境で粗食生活をしていた人々は、体にたまる化学物質や有害物質などもなかったので、デトックスを意識する必要もなかったでしょう。
しかし文明の進んだ現代社会では、大気や水の汚染、工場の廃棄物、紫外線、ストレス、飽食、タバコの嗜好品など、さまざまな物質や因子が人体に悪影響をおよぼしています。
そんな世の中に住む現代人は、知らず知らずのうち、体に有害物質や活性酸素がたまってしまう、本来あたりまえに解毒されるべきものができていない、生活習慣も悪くなる、といった状況になります。
そうして免疫力や基礎代謝の低下、便秘、むくみなどに悩まされ、デトックスという自然生理作用を、あえて意識して行わなければいけなくなったのです。
カフェインの利尿作用による大きなデトックス効果はない
デトックスの一番の近道は毎日の快便です。健全な人体はもともと、肝臓や腎臓などの器官で毒素や老廃物を排出する機能があります。
適切な食生活や生活習慣、適度な運動、ストレスを貯めないことが、毎日の便排出の基本でしょう。
毎日の老廃物の排出を促す方法として、
• 食物繊維の摂取
• ミネラルウオーターの摂取
• 食品添加物の回避
• 入浴、岩盤浴
• マッサージ
• 絶食
• 鍼灸
等があります。
排尿は腎臓がその機能をつかさどっています。腎臓は、老廃物や塩分をコントロールして尿を排出させるだけではなく、体内の体液量やイオンバランスを調節する役割をしています。
腎臓が正常に機能していれば、体液のバランスはとれて、尿の排出もスムーズです。
デトックス効果に、「水を毎日2リットル飲もう」といわれていますが、必ずしも2リットルでなければいけない、ということはありません。体内の水分量はいつも一定に保たれています。
脱水しないよう、こまめに2時間置きをめやすに水分を吸収していれば、問題はないでしょう。
間違えやすいのは、コーヒーやお茶などのカフェイン飲料は利尿効果があるので、尿によるデトックス効果が高いと判断することです。
実は、カフェイン飲料は水に比べ、多少の利尿効果はあるものの、尿量や尿成分の違いはさほど変わりません。
水がわりにコーヒーなど飲むのは結構ですが、カフェインの1日の適量400mg(コーヒー約3−4杯)と一度の適量200mgを超えない範囲で節度のあるカフェイン摂取をしましょう。
デトックス・ウォーターといって、フルーツなどを切って水に浸したものがありますが、こちらも利尿作用という点では、水とそれほどかわりません。
フルーツに含まれるビタミンなどの栄養素が付加価値として補給できているということです。
尿によるデトックスの効果は、水分をとることで尿の排出を促す事に意義があるので、どのような水分であっても良いのです。
ただし、水分とともに吸収される糖分、乳糖、カフェインなどの過剰摂取をしないよう配慮が必要です。
話題のクレンズはデトックスとどう違う?
最近、美容に敏感な人の間で「クレンズ」という言葉がよくきかれるようになりました。特に「ジュース・クレンズ」はハリウッドの有名人などが実行しているという話題性もあり、日本でも人気が急上昇です。
クレンズ(Cleanse)またはクレンジング(Cleansing)とはその名のとおり「洗浄する」です。
体内の毒素や老廃物を清掃する(Cleanにする)という事です。デトックスとほぼ同義語ですが、デトックスは老廃物の排出そのものを広く指す場合が多いですが、クレンズはもう少し積極的な行為として使われる場合が多いです。
例えば、肝臓や腸などの臓器や、排除したい有害物質(カンジダ菌や金属など)を特定して、ある一定の期間をもうけて集中的に行う方法が一般的です。
デトックスが毎日あたりまえにおこなっている掃除機かけ、洗濯、食器洗いなどの清掃全般なら、クレンズは季節の変わり目におこなう、ふだん手が届かないようなカーペットクリーニングや窓掃除、配管掃除、といった感じでしょう。
クレンズはジュースのみの断食法、ハーブなどのサプリメント補助による食事制限法、また浣腸で老廃物を排出する方法などさまざまです。一般的なクレンズは次の通りです。
1)ジュース・クレンズ:断食による短期間集中法
新鮮な野菜や果物で作ったジュースと、水のみを摂取する断食方式です。食事を断ち、消化器官を休ませる事で 、基礎代謝の向上や、ダイエット効果をねらうものです。
2−14日ものが一般的で、中には1日でというのもありますが、効果を真剣に期待するなら一定期間が理想的です。
コールド・プレスという低速で圧縮するジューサーで野菜や果物のジュースを採取する方法は、一般の摩擦熱で採取するミキサーに比べ、栄養素が高いといわれます。
ただし、コールド・プレスでは食物繊維は取れません。
注意したいのは、100%の野菜や果物のジュースであれば、なにを飲んでもいいというわけではありません。スーパーなどの野菜ジュースは防腐剤や添加物が入っている物が多いので注意が必要です。
また自宅で用意する場合も、ジュースにする組み合わせを考えないと、糖分過多になってしまい、インスリンの過剰分泌などをおこします。野菜80%、果物20%が目安です。
断食の健康への影響はいろいろ意見が分かれています。一方は断食をして消化器官をやすめることで再生につながるという肯定的意見。
もう一方は、断食したあとのリバウンド、また血糖値が急激に下がることでの他の病気などの影響の面から、栄養補給はコンスタントであるべき、という意見です。
このクレンズの期間はジュースと水のみの摂取になり、タバコやアルコール、コーヒーなど胃腸や消化器官に刺激になるものは禁止するので、日頃の悪い食習慣をリセットするという、精神的な浄化の効果を望んで行う人もいます。
短期間で効果をえられるという価値はありますが、逆に短期間で行うので体への変化や負担が余計にかかるので、正しい知識をもっておこないましょう。
2)サプリメント補助のクレンズ:食事品目制限による中長期間法
クレンズ方法の相性は個人差があるので、断食が耐えられる人はよいのですが、食べる事が大好きな人、食べないと具合が悪くなってしまう人へは、断食方法ではなく、食事品目制限方法とサプリメント補充を併用して行う、中長期間クレンズがよいでしょう。
断食法は安静が必要なので、 定期的に運動をしている人もこちらの方法が向いています。
ハーブや食物繊維を含むサプリメント摂取で、腸内を活性化して排泄を促す方法です。クレンズの期間は1—2ヶ月が目安ですが 、長期で実践したほうが効果が高いといわれています。
こちらのクレンズは断食はありませんが、食事の項目の制限をおこなうことで、さらに効果を高められます。
たとえば、クレンズの期間はアルコール、砂糖、乳製品、グルテン、嗜好品、添加物のカフェイン、を避けるなど目的にあわせて設定します。
3) 腸内洗浄 のクレンズ: 浣腸による即効の便秘解消法
こちらは管を肛門から腸の中にいれて、滅菌蒸留した温水溶液を注入して腸内を洗浄して、排便を促す方法です。
腸内洗浄によって消化器を活発化させ宿便をとりのぞくので、即効性の便秘改善になります。医療機関や専門のクリニックで行うことができます。
市販されている自宅で行えるキットの洗浄用の専用液にはコーヒーが成分のものもあります。いわゆるコーヒー・エネマというものです。コーヒー溶液に含まれているカフェインやテオフィリンが肝細胞を刺激することによって、胆管を拡張させ胆汁の分泌を促すのです。
しかし、個人で行う場合は、注意しないと腸内をきずつけてしまう恐れがあるので、正しく内容を理解した上で慎重に行う必要があります。
生活習慣の乱れによる一時的な体調不良や、便秘による不快感などに悩まされている人は、クレンズを行う事で体内のリセットをはかるのも良いでしょう。
しかし、大切なのはリセット後の健全な体内を持続させることです。デトックス後に、暴飲暴食、睡眠不足などの悪習慣をつづけていては、せっかくの行為も無駄になります。
お気づきのように、食事が要なのであって、サプリメント、ジュース、浣腸などはデトックスをサポートする物です。結局は栄養バランスのとれた食生活を含む健全な生活習慣が快便を促し、体内の器官を正常にはたらかせるということなのです。
「デトックス」や「クレンズ」という言葉の意識をきっかけに、生活習慣を見直す事ができれば、毎日トイレで自然にデトックスができることでしょう。