冷え性に悩まされている人は多いのではないでしょうか。私たちがよく飲む、コーヒーや紅茶に含まれているカフェインが冷え性を悪化する、という説があります。ですが一方では、カフェインは体を温めるという意見も。
両極する意見ですが、本当はどっちなんでしょう。真実を追究するべく、冷えの原因、またカフェインの作用と冷えの関連性を調べてみました。
冷えは万病のもととは本当だった
現代人は冷え性の人が多いと言われています。人間の正常体温は大人で36.5度前後、子供で約37.5度と言われています。 これは体内の組織が最も活発化される理想の温度ですが、最近36度以下の低体温の人が増加しています。
「冷えは万病のもと」という言葉のとおり、体温がさがると体の様々な器官に悪影響をもたらします。 冷えによる肩こり、頭痛、不眠、生理痛、新陳代謝の低下、免疫機能の低下、他にもいろいろあります。
1度の体温低下で基礎代謝が13%落ち、免疫力は30%低下します。
免疫機能が低下するので風邪などの病気にかかりやすく、がんの発生率も高くなります。がんは体温が35度の時、一番増殖するといわれています。
逆に体温が1度上昇すると免疫力が5倍にも上昇します。風邪をひいて熱を出すのは、体温をあげて免疫を高め、ウィルスの繁殖を抑制しようと体が働くからです。
低体温が体に悪影響をおよぼすのは明らかですが、冷え対策としてカフェインは摂取して問題ないものなのでしょうか。実はいくつか相反する説があります。
カフェインは体を冷やす説
陰性食品が体を冷やす説
食品には体を温める作用のあるもの(陽性食品)と、体を冷やす作用のあるもの(陰性食品)、またどちらにも属さないもの(間性食品)があります。東洋医学の観点では、寒い土地で、また寒い季節に採れたものは、体を温めるのに適しているので、陽性食品であるといわれています。
カフェインを多く含むコーヒー豆の原産地は主に南米やアフリカ、インドネシア。紅茶はインドやスリランカ、ケニア。チョコレートの原材料となるカカオは中南米。いずれも暖かい地域でとれるので、東洋医学観点から陰性食品であると位置づけされています。よって陰性食品であるカフェインは体を冷やすということです。
利尿作用が体を冷やす説
カフェインには利尿作用があります。尿の排出ともに体温が下がるといわれているからです。また尿の排出とともにミネラル分も排出され、ミネラル不足になるとエネルギー代謝がしにくくなるので、冷えをまねくともいわれています。
カフェインは体を温める説
血行促進が体を温める説
カフェインは、交感神経を刺激することにより、心身を覚醒させる作用があります。血圧が上昇し血流を促して体を温めます。
筋力強化が体を温める説
カフェインには筋力強化の促す作用があります。筋肉の増加によって基礎代謝が高まり、安静時でもエネルギー消費がしやすくなります。カフェインは代謝を高める肉体づくりのサポートをしてくれるので、カフェインの摂取は冷えには効果的です。
またカフェインには脂肪を燃焼する作用があります。中枢神経を興奮させ、脂肪酸の増加を促進するので心拍数が増加し、脂肪のエネルギー代謝をうながし、発熱をもうながします。
貧血気味、生理前の人はカフェイン摂取に注意
結局、カフェインは体温の上昇と低下の、両方の相反する作用があるといえます。
カフェインの作用の効果は個人差があります。人によって、過敏に反応してしまう人もいれば、ほとんど影響を受けない人もいます。また同じ作用でもそれが時によって悪影響であったり、好影響であったりもします。大事なのは、自身の体調と体質にあった適時と適量を理解して、カフェインを摂取することでしょう。
特に女性が冷えに注意したいのは、生理前のカフェイン摂取です。
冷えは生理痛を悪化させます。それは生理前に分泌されるプロスタグランジンというホルモンが、冷えにより過剰分泌をおこし、痛みを増加させるからです。
プロスタグランジンは子宮を収縮して、月経時の血液の排出を促す働きをしますが、過剰分泌されると、頭痛や腰痛をおこします。
またプロスタグランジンには、閾値(いきち)を低下させる作用があります。閾値とは、 痛みを感じる限界点のことで、閾値が低いとふだんは痛みと感じない小さな刺激でも、痛みを感じてしまいます。ようは痛みを感じやすくなるので、生理の痛みがさらに増します。
特に生理前、生理中はホルモンバランスのくずれやすい期間であり、カフェインの刺激作用は、脳のホルモンへの神経伝達にも影響をおよぼすのでさけたほうがよいでしょう。
また、カフェインは鉄分の吸収をさまたげる作用があり、鉄欠乏性貧血の原因になるので、貧血気味の人は、食後のコーヒーなどさけたほうがよいとされています。
自分の体質を良く理解して、楽しいカフェインタイムを取るようにしましょう。