実は大丈夫?!貧血症なのにカフェイン断ちしなくても平気な理由!

「コーヒーやお茶は貧血症の人に悪影響である」、とよく言われます。 なぜならその中に含まれるカフェインが鉄分の吸収を妨げるからです。

貧血気味で、コーヒーやお茶が大好きな人にとっては、とっても悲しい事実。貧血になるのはいや、でも大好きなコーヒーやお茶はやめられない。

そんな悩みのある方へ朗報です。貧血の知識をふまえて、カフェイン飲料を上手に工夫して飲むことで、貧血への悪影響を最小限にすることはできるのです。

そこでコーヒーやお茶をこよなく愛する人のために、貧血に関する知識と、カフェインをがまんせず、貧血を予防する方法をまとめてみました。

貧血とは血液中の酸欠のこと

まずは貧血の基本的な知識を、すこし理解しておきましょう。

貧血という言葉から「少ない血」など「うすい血」など連想します。当たらずしも遠からずですが、もっと正確に言うと血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンが少なくなる状態を意味します。

ヘモグロビンは酸素分子と結合して、身体に酸素を運搬する重要な役割をしていて、ヘモグロビンが減少すると酸素がうまく運ばれずに、体内の組織が酸欠をおこします。

酸欠になると、身体は血液の循環を早め、大量の血液を流そうとして、動悸、息切れ、失神、立ちくらみ、疲労などさまざまな症状がおこります。

貧血は女性に多くみられます。もともとホルモンの関係で女性は男性に比べ赤血球の数が少ないのに加え、月経や妊娠、出産による血液の排出量が多いからです。

 

鉄欠乏性貧血の原因

貧血をおこさないためには、血液中の酸素を運搬するヘモグロビンの存在が重要なわけですが、ヘモグロビンの生成に必要不可欠なのが鉄分です。

身体の鉄が欠乏するとヘモグロビンの生産が充分にできなくなり、血液中の酸素の運搬もうまくいきません。これが皆さん良くご存知の「鉄欠乏性貧血」です。

貧血のなかでももっとも多いのが、鉄欠乏性貧血です。 鉄が欠乏する主な原因は、食事による鉄の摂取不足、病気、月経などの出血、胃の除去による鉄の吸収障害など、鉄の必要量にたいして、十分な供給ができない場合におこるのです。

1日の鉄の摂取推奨量は男性8mg、女性(月経あり)11mg、女性(月経なし)7mg、妊婦20mgです。

ただし身体が食品から1日に吸収される鉄の量というのは1mg程度です。そして体外から毎日約1mgの鉄が排出されます。要は、吸収された分だけ排泄されるということですね。

ヘモグロビンの生成に重要な鉄分ですが、カフェインには鉄分の吸収をさまたげる作用があるのです。カフェインが鉄欠乏性貧血に悪影響といわれるのはこのためです。

 

コーヒーやお茶に含まれるタンニンやクロロゲン酸も貧血に悪影響

実はコーヒーやお茶に含まれる、鉄欠乏性貧血によくない因子はカフェインだけではないのです。

コーヒーやお茶が貧血に悪いのは、カフェインばかりでなくタンニンという渋味成分もあるからです。

このタンニン、抗酸化作用で知られるカテキンやポリフェノールの一種なので、体に良いものとされてますが、一方で鉄の吸収を阻害する作用があります。

コーヒーに含まれるクロロゲン酸も、同じく鉄分の吸収を阻害する作用があります。

コーヒーやお茶に含まれているカフェインとともに、タンニンやクロロゲン酸なども貧血に悪影響をもたらすことを認識しましょう。

 

貧血をさけるためのコーヒーやお茶の飲み方のちょっとした工夫

貧血になりやすく、でもコーヒーやお茶がやめられないという方は以下の通り工夫すると効果的です。カフェインとタンニン両方についてのご紹介になります。

 

1. 食後のコーヒーやお茶の摂取はさける

カフェインやタンニンは鉄の吸収を妨げます。食後のコーヒーやお茶は、せっかく摂取した鉄分の吸収を阻害するので、効率のわるいことになってしまいます。

コーヒーやお茶は、食後30分から1時間以上たってから飲むようにしましょう。また食前も同様です。どうしても飲みたいという方は比較的タンニンの少ない麦茶などにしましょう。

 

2. 水出しで抽出して飲む

カフェインやタンニンは、80度以下の水では溶けにくい性質をもっています。茶葉は5分ほどかけて水で抽出すると、カフェインの苦みやタンニンの渋味が減り、逆にテアニンという甘み成分が増すので飲みやすくなります。

コーヒーはなるべく強い味の、イタリアンやアイス用ものを使います。コーヒー豆をフィルターパックにいれ、水のポットで色がでるまでお好みで5−8時間置いてください。

 

3. カフェイン、タンニン含有量の少ないものを選ぶ

玉露、コーヒー、紅茶はカフェイン、タンニン両方多いのでさけましょう。麦茶、番茶、ほうじ茶は比較的少なめです。ルイボスティーはノンカフェインでタンニンの量も少なめです。

コーヒーならディカフェやカフェインレス、またはタンポポコーヒーなどがよいでしょう。

 

バランスのよい食事で日頃から鉄分摂取をこころがけよう

日頃から適切な鉄分摂取ができていれば、適量のコーヒーやお茶の摂取は貧血にはさほど影響はないといえます。

摂取した鉄分をうまく吸収するには、バランスの良い食事が不可欠です。

ここで注意したいのは、鉄分の多い食品を効率よく取ることです。鉄の吸収率の高い食品を組み合わせて、吸収を高めることが大事です。

食品中の鉄分には動物性の肉や魚に多い「ヘム鉄」と、野菜や穀類に含まれる「非ヘム鉄」があります。
• ヘム鉄を含む食品:牛、豚、鶏のレバー、赤身肉、しじみ、あさり、かつお、いわし
• 非ヘム鉄を含む食品:ほうれん草、小松菜、ひじき、大豆、アサイー、プルーン、ナッツ

この二つの鉄分の違いは吸収率です。ヘム鉄はそのまま吸収できるので、鉄の吸収率は非ヘム鉄と比べて2−3倍も高いのです。

一方で、非ヘム鉄はそのままでは吸収できず、吸収されるにはビタミンCや動物性タンパク質が必要です。また非ヘム鉄は、食物繊維やタンニンからの妨げをうけやすく、野菜や穀物系の鉄分を取る際は、組み合わせの工夫が大切です。

また、南部鉄器などの鉄瓶でお湯をわかすと、鉄の成分が湯にとけます。 ただし微々たる量なので、あくまで食事でとる鉄分の補助的存在として考えるのが妥当です。

大事なのは、鉄分を含むバランスのよい食事を、効率よく吸収することです。あとは食事の際、胃散が分泌されるよう食べ物をしっかりよく噛んで、消化を促せばよいのです。

こうすれば、大好きなコーヒーやお茶を断つ必要もなく、貧血を防止できますね。