美肌は若く健康的にみえる証。いつまでも、つややかでプルルンとハリのある肌でいたいもの。でも年をかさねると、いつのまにかシミやしわができてしまう。
アンチ・エイジング対策をしてる人にとって、コーヒーは肌の老化の原因になるから悪影響であるといわれています。
コーヒーに含まれているカフェインが、シミを増やす原因であるというのです。ということは、ふだん飲んでるコーヒーや紅茶などのカフェイン飲料はすべて美肌にはNGということ?
でも、まってください。実は、コーヒーや紅茶には、肌を活性化する抗酸化作用だってあるのです。コーヒーや紅茶に含まれる成分が、どのように肌の老化と抗酸化作用に関わっているのか、ご紹介します。
意外と知らないメラニンの役割。シミの原因だけではなく肌を紫外線から守っていた!
そもそも、シミや肌の老化とは一体どうしておこるのでしょう。
肌は年齢とともに老化し、シミやしわが増加し、潤いを失っていきますが、それは年齢のせいだけではありません。
肌の老化現象に深く関係のあるのが「紫外線」と「活性酸素」です。
オゾン層を通して地球に届く紫外線UVA、UVBは、多くの有害物質を含んでいます。紫外線を大量に浴びると、体内は紫外線から体を守ろうと多量の活性酸素を発生します。活性酸素は、外部から侵入する細菌やウィルスを、その強い酸化作用でやっつけてくれるのです。
しかし活性酸素が過剰になってしまうと、今度は逆に体内に必要な細胞まで侵してしまい、体が酸化してしまう、老化の原因となるのです。薬もすぎれば毒となるとは、まさにこの事です。
そこで登場するのがメラニンという色素です。
メラニンというと、シミをつくる原因として厄介者扱いされがちですが、 メラニンは活性酸素を退治して、我々の肌細胞を有害な紫外線からまもってくれる大切な役割をはたしています。
体内の活性酸素が増加しすぎると、防衛反応が働き、メラノサイトという細胞が指令をうけ、メラニンをより多く生成するよう働きかけ、増えすぎた活性酸素を減少させます。
メラニンは通常肌の再生とともに排出されますが、過剰に発生すると肌の再生機能が間に合わず、色素沈着し皮膚にシミをつくるのです。
おもなシミの原因は紫外線による活性酸素の増加です。
シミの原因メラニンを抑えるには、紫外線と活性酸素を攻略せよ
カフェインが美肌に悪影響といわれるのは、シミの原因となるメラニンの移動と拡散をさせる作用があるからです。
メラニン自体は悪者ではありません。
我々の肌や髪の色は、メラニン色素の量によってきまります。白髪の原因はメラニン色素の減少と毛髪細胞の機能低化によるものです。
むしろメラニンは肌細胞をまもるために、 体内に侵入しようとする紫外線の有害物質をブロックする事で、DNAや細胞を守り、皮膚がんを予防しています。
シミはいわゆる、我々を守るためメラニンが戦ってくれた証です。
かといってシミはやはり気になるもの。シミ対策として、日焼け止め、日傘、帽子などで紫外線を避けることが対策になります。
また、活性酸素を増やさないにする事が重要です。人間は呼吸をし取り入れた酸素によって生命維持に必要なエネルギーを作っていますが、その約2%が活性酸素になります。 活性酸素は日々、体内で生成されています。
活性酸素は紫外線だけでなく、ストレスや喫煙、食品添加物の摂取により増加します。また酸素を多く取り込む、激しい運動によっても増加します。
コーヒーに含まれているクロロゲン酸、緑茶に含まれているカテキンの活性酸素で肌の老化を防ぐ
体内に増えすぎた活性酸素への対処は、抗酸化酵素を体内につくり、酸化を防ぐことです。そのためには、抗酸化成分を多く含む飲食物を、積極的に摂取することが大切です。
抗酸化力を高める成分としては、
- ビタミンA、E、C、
- スーパーオキシドディスムターゼ
- カタラーゼなどの酵素
- ポリフェノール
- カロテノイド
などがあります。
そして、なんと意外な事に、コーヒーや紅茶には、抗菌作用で知られるポリフェノールが豊富に含まれているのです。
コーヒーの主成分であるクロロゲン酸、緑茶に含まれるカテキン(タンニン)はポリフェノールの一種で、活性酸素を減らす事で病気や、老化を抑制してくれるのです。
紫外線を長時間浴びると、体内は紫外線から放つ有害物質から体を守ろうと多量の活性酸素を発生します。
金属が酸化して錆びるのと同じように、人間の体も体内で作られた活性酸素によって酸化します。この活性酸素は有害物質を消滅させて体内をまもる役割をはたしますが、増えすぎると逆に有害になり酸化によって体内の細胞や組織が老化し、ガンなどの病気の原因となります。
ポリフェノールは抗酸化作用があるので、体内に増えすぎた活性酸素を抑制し、ガンや動脈硬化などの予防になると考えられています。
さまざまな食品から偏りなく、抗酸化成分を摂取するのが大切です。ほかの成分と同時に摂取する事で、抗酸化作用をアップさせます。
抗酸化物質を含む食品は以下の通り。
- アボカド:ビタミンE、グルタチオン
- バナナ:アミノ酸、β−カロテン
- トマト:リコピン
- カボチャ、人参: β−カロテン
- サーモン:アスタキサンチン、ジメチルアミノエタノール
- ザクロ:ビタミンC、エラグ酸、エストロン
- ごま:ゴマリグナン(セサミン、セサミノールなど)
- ニンニク、ショウガ、ネギ:アリシン
- コーヒー:クロロゲン酸
- お茶:カテキン
逆に老化を促進する食品は
- 砂糖
- トランス脂肪酸
- 塩
- 炭水化物
一般的に「AGEs(エイジス)」という毒性をもつ食品は、老化に深く関係があり、 美容だけではなく、認知症や心筋梗塞などの体内の健康をおびやかすリスクがあるといわれています。
AGEsとは英語のAdvanced Glycation End-products (終末糖化産物) の略語で「タンパク質と糖が加熱されて出来た物質」のことです。
例えば、卵(タンパク質)、牛乳(タンパク質)、小麦粉(糖)が混ぜ合わせて加熱されたホットケーキなどです。他にも唐揚げ、フライドポテト、ステーキなど焼いたり、揚げたりする調理方法でAGEsを生成するので、調理の際には茹でたり、蒸したりする工夫が必要です。
老化の予防と促進が共存するコーヒーやお茶は、過剰摂取しなければ、問題はない
結局、コーヒーやお茶には、肌に悪い成分と相反して、肌に良い成分が同時に混在している事になります。
コーヒーはクロロゲン酸が主成分でカフェインより多く含まれているので、物理的にはメラニン増加作用より、抗酸化作用の方が強いといえます。
コーヒーであれば1日2−3杯、お茶であれば4−5杯(玉露の場合は1−2杯)という適量を摂取していれば、ほぼ影響はないでしょう。
一般的に日本人を含むアジア人は、美白、肌年齢にとりわけ敏感で、紫外線対策の帽子、日傘に、腕カバーにマスク、その鉄壁なるガード力は外国人の目には異様にみえてしまう傾向もあります。
外国人は、 美肌や痩身に対して、日本人ほど執着していません。少々肥満気味でも、おしげもなくその体を披露し、年老いてもビキニ姿でビーチで日光浴をします。目の予防のためのサングラスはしても、そばかすやシミ対策には無頓着で、帽子をいつもバッグに携帯している帽子女子などほとんどみかけません。
だから日本人は長寿だし若く見えるのだ、といわれればそれまでですが、シミやしわのひとつで人生棒に振るということはありません。あれもダメ、これもダメと制限をつけすぎてしまうより、無理のない範囲の方法を適度にとりこみ、気張らないゆとりある生活を楽しんでもいいのでは。
もっとも「色の白いは七難隠す」という言葉に象徴されるように、日本では古来から高貴な女性が白粉(おしろい)を塗ることで肌を白くみせていた文化があり、「美白=美しい」という長い年月で築き上げられた価値観は、そう簡単にかわるものではないのでしょうが。