よく興奮したりドキドキすると「アドレナリンが出る」っていいますよね。そのアドレナリンの分泌に、カフェインが関係しているのはご存知ですか?
そもそもアドレナリンってなに?どこから、どうやって出るものなの?出ると体にどんな影響があるの?
良く聞くけど、実はあまり知らないという人のために、アドレナリンの概要と、カフェインとの関係を紹介しましょう。
アドレナリンとカフェインの関係
アドレナリンは、副腎髄質とよばれる内分泌器から分泌するホルモンです。神経の伝達物質で、交感神経が緊張すると、アドレナリンは分泌し、血中に放出されます。
人間の神経には、自分の意志で動かすことの出来る「体性神経」と、意思とは無関係に働く「自律神経」があります。さらに自律神経には、目覚めている時に優位になる「交感神経」と、休息している時に優位になる「副交感神経」のふたつがあり、両者は正反対の関係にあります。
交感神経は、活動している時、緊張している時、興奮している時などに働きます。
アクション映画をみて、息つくひまもない展開にドキドキしたり。大好きな音楽をきいて、気持ちが高揚したり。大事なパフォーマンス前に緊張したり、など。 体中から、何かが一気にドーッと溢れ出るような、興奮した状態は、アドレナリンの分泌によるものなのです。
カフェインの興奮作用は交感神経を刺激し、アドレナリンと相互作用するので、さらに効果が増大します。そして血糖値の上昇、心臓、筋肉の強化、 血圧の上昇、心拍数の上昇など、さまざまな作用をもたらします。
アドレナリンが闘争心を燃やし筋力アップ
アドレナリン分泌が上昇した状態は、まさに動物が恐怖を目の前にして、その敵から身を守るために「闘争か逃走か (fight-or-flight)」の選択を迫られたような状態です。
そのような興奮状態は、血糖値の上昇、心臓、筋肉の強化、血圧の上昇、心拍数の上昇、痛感の麻痺をおこします。
そんなアドレナリンの分泌時には、筋力トレーニングが効果的です。
筋力が強化するので、いつもより負荷をかけやすくなり、ウエイトの重さや反復回数を増やすことができ、筋力アップを高められるのです。
カフェインの効果は30分から1時間後にあらわれるので、 その前にカフェインを摂取するのがいいでしょう。
またアドレナリンの分泌は、運動能力や集中力を高めるので、ウエイト・トレーニング以外のスポーツ全般や、学力の向上にも効果的です。
30分前のカフェイン摂取によるアドレナリンのダイエットの効果
アドレナリンの交感神経を刺激する作用は、ダイエット効果もあります。交感神経を刺激されると、空腹を抑制し、脂肪燃焼効果を高めるからです。
空腹の抑制
アドレナリンは、肝臓に蓄えられたグリコーゲンをブドウ糖に分解し、エネルギー源として血中へ放出することにより、血糖値の低下を防ぐことができるのです。血糖値が低下すると脳はエネルギー不足を察知し、「空腹を感じた」とシグナルを送ります。空腹感をおさえるには血糖値の上昇が必要です。
アドレナリンの分泌は血糖値を上昇させるので、空腹の抑制効果をもたらすのです。
空腹を感じそうな30分くらい前にカフェインを摂取すると、空腹感を抑制できます。カフェインが聞き始めるのは30分くらい前なので、ちょっとお腹がすいてきたかな、と思いはじめたころにコーヒーなどを飲むと、効果的です。
脂肪燃焼効果
アドレナリンは、脂肪分解酵素であるリパーゼを活性化させる作用があるので、ウォーキングなどの有酸素運動を行う前にカフェインを摂取すると、脂肪燃焼効果をうながします。
中性脂肪は、遊離脂肪酸とグリセロールという成分からできています。中性脂肪を代謝させるには、この結合している成分を分解させなければいけません。
そこでリパーゼが、血液中にある中性脂肪を、遊離脂肪酸とグリセロールとに分解し、細胞内に吸収させて燃焼させるのです。
有酸素運動前の30分から1時間前に、ブラックコーヒーなど飲んでおくと、脂肪燃焼効果を増大させます。
アドレナリンの過剰分泌は悪影響
アドレナリンを過剰に分泌すると悪影響もあります。興奮状態にあるということは、脳や身体を緊張状態にさせて、負担をかけているということです。そのような極限の緊張状態が長期におよぶと、より心身にストレスがかかり、多大なダメージをあたえます。
短時間のパフォーマンス向上目的には効果的ですが、長期的な血糖値の上昇は、糖尿病をまねいたり、過度な興奮状態は、怒り、動悸や頭痛、高血圧の原因になります。
現代人はストレスが多く、緊張している状態が多いため、交感神経が優位になりすぎる傾向があります。神経や精神をリラックスさせる時間を充分にとらないと、 身体のバランスが失われ、健康を害してしまう恐れもあります。
アドレナリンを分泌させたいからといって、やみくもにカフェインを取り続けていると過剰摂取による中毒症状がでてしまい、禁断症状を発生します。カフェイン摂取は自分の適量を把握しながら、 必要な時だけ工夫してとりましょう。